高所得者に関する税金と岸田内閣の所得再分配政策の動きについて
日本国内には、年間給与が1000万円を超える方々、いわゆる高所得者がどの程度存在するかご存知でしょうか?また、彼らがどれほどの税金を納めているのかについてご覧いただきましょう。
高所得者の比率
国税庁が行っている「民間給与実態統計調査」(※)によれば、令和2年の日本の平均給与と各給与階級の構成比は次のようになっています。
年間給与階級別構成比( 2020年分)
- 年収区分構成比
- 100万円以下8.4%
- 100万円超~200万円以下13.8%
- 200万円超~300万円以下15.5%
- 300万円超~400万円以下17.4%
- 400万円超~500万円以下14.6%
- 500万円超~600万円以下10.2%
- 600万円超~700万円以下6.5%
- 700万円超~800万円以下4.4%
- 800万円超~900万円以下2.8%
- 900万円超~1000万円以下1.8%
- 1000万円超~1500万円以下3.4%
- 1500万円超~2000万円以下0.2%
- 2000万円超~2500万円以下0.3%
所得金額 所得税率
- 課税される所得金額税率
- 195万円以下5%
- 195万円超~330万円以下10%
- 330万円超~695万円以下20%
- 695万円超~900万円以下23%
- 900万円超~1800万円以下33%
- 1800万円超~4000万円以下40%
- 4000万円超45%
年収1000万円以上の高所得者の数
調査結果によれば、年間給与が300万円以上400万円以下の方が最も多く、全体の55.1%を占めています。一方で、年収1000万円以上の高所得者は全体のわずか4.6%です。
高所得者の納税額について
次に、給与別の納税額を見てみましょう。
年収800万円以上の高所得者の比率と納税額
年収800万円超〜1000万円以下の所得者は全体の4.6%で、年収1000万円以上の高所得者と同様に存在しています。国税庁の調査によれば、令和2年で年間給与が800万円を超える給与所得者は481万人に上り、これは給与所得者全体の約1割(9.2%)です。しかし、彼らが納める税金の合計は6兆8834億円に達し、全税額の64.3%を占めています。
年間給与2500万円以上の超高所得者の納税額
一方、年間給与が2500万円以上の超高所得者は全給与所得者のわずか0.3%ですが、その納税額は1兆9469億円に上り、全税額の18.2%を占めています。
これらの数字から、「累進課税制度」が有効に機能し、高所得者が日本の税金の大部分を負担していることが明らかになります。
岸田内閣の所得再分配政策の動向
2021年10月、新たな岸田内閣が誕生しました。岸田内閣は初めから所得再分配政策を推進する意向を示し、株や投資信託の税負担増を検討していましたが、市場への影響を考慮し、「当面は変えない」という発言を撤回しています。
児童手当の対象年齢拡大と扶養控除の廃止の検討
2023年6月、岸田内閣は子育て支援として児童手当の対象年齢を高校生まで拡大することを検討しています。現行の対象は中学生までですが、もし高校生まで対象が広がれば、子育て家庭への支援はさらに強化されます。ただし、同時に扶養控除の廃止も議論されており、これが実現すると所得税負担が増える可能性があります。
金融所得課税の見直しについて
岸田内閣は初めから所得再分配政策を推進し、株や投資信託の税負担を増やす金融所得課税の見直しを検討していましたが、市場への影響を考慮し、「当面は変えない」という発言を撤回しました。
110万円の暦年課税制度の見直しについて
2023年度の税制改正により、暦年贈与の加算期間が7年に延長され、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が創設されました。
また、暦年課税を適用した後に相続時精算課税制度に切り替えた場合、贈与者の相続発生のタイミングによって、どの暦年贈与を・どれだけ相続財産へ加算するのかを見極める必要がある点にも注意が必要です。
まとめ
給与所得者のうち高所得者が占める比率やその納税額について、普段はあまり考えることはないかもしれませんが、今回の記事を参考に、自身の給与や税金について改めて確認してみてはいかがでしょうか。
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