新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻など、世界中でインフレが起きています。
物価が上昇することで、現金の価値が下がり、資産の価値が減少しています。
ですが、インフレ下でも資産を守ることは可能です。
そのために、インフレに強い資産形成のコツとポイントを抑える必要があります。
インフレとは
「インフレ」とは、物価が持続的に上がる現象を指します。
例えば、1,000円で買えていたものが、1,100円を払わなければならなくなることで、現金の価値が下がることを意味します。
ディズニー入園料、30年で約2.5倍
例えば、みなさんご存知の東京ディズニーランド、1983年の開園当初のチケット価格は3,900円でしたが、2021年には最大9,400円となんと30年間で約2.5倍になっています。
一般的に成人し社会に出てから定年までが約40年ですから、その間に物の価値が2.5倍にもなり得るという事になります。
インフレは、物の需要が高まることで起こる場合と、生産コストの上昇や世界情勢の悪化によって引き起こされることがあります。
物価の上昇が起こるため、インフレは悪いと思われるかもしれませんが、商品がよく売れることで景気が良くなる良いインフレもあります。
一方、生産コストの上昇や世界情勢の悪化によって引き起こされるインフレは、景気が良くならずに物価のみが上昇するため、悪いインフレと呼ばれます。
良いインフレとは
良いインフレは「景気の拡大をともなうインフレ」で、物の需要が高まることで商品が売れるため、企業が儲かり、従業員の賃金が上昇し、さらに物が売れるという循環が起こります。
実際に日本で起った良いインフレの例 その1
日本は1955年~1972年頃にかけて「高度経済成長期」この高度経済成長期には経済成長に伴う賃金上昇、需要が高まり、年約4.5%のインフレ率と飛躍的な経済成長を遂げました。
実際に日本で起った良いインフレの例 その2
1960年に池田勇人内閣が策定した「所得倍増計画」により、1967年には所得2倍を達成し、1968年には国民総生産(GNP)で「資本主義国2位達成」という大きな成果を収めました。
この計画によって、国民一人一人が豊かになったことに加え、耐久消費財などの「三種の神器」が急速に普及し、大量生産・大量消費の時代が到来しました。
このように、経済成長に繋がる場合も多くあり、実質的に現金の価値が目減りする物価上昇が起こってもインフレは一概に悪いとは言えません。
悪いインフレとは
「悪いインフレ」とは、費用の増加によって物価が上昇する状態を指します。
つまり、物流や原材料などのコストが上昇しても、経済成長や賃金の上昇に伴わない状態で価格が上がり続けることを指します。
このような状況が続くと、企業の業績が悪化し、賃金が上がらないのに身の回りの商品が値上がりして家計を圧迫する悪循環に陥ります。その中でも、短期間で物価が急激に上昇する「ハイパーインフレーション」と呼ばれる現象があります。
実際に起った悪いインフレの例
2000年代前半、ジンバブエ政府が過剰に通貨を発行し、外資系企業を追い出したことで物資不足が起こり、価格が大きく上昇しました。
ジンバブエ政府は物価を半分にするなどの対策を打ち出しましたが、多くの企業が倒産し、前月比796億%上昇するハイパーインフレーションに陥りました。
2023年 日本のインフレ状況
2022年は欧米で高いインフレが続いていた中、日本でも相対的に低い水準でしたが2%を超えるインフレ率が発生しました。
主な原因は資源高や円安による輸入物価の上昇で、食料品、ロシアのウクライナ侵攻以降は電気・ガス料金の大幅な値上げが家計を圧迫し、収益を圧迫する企業も存在します。
ですが、2023年は輸入物価がピークアウトし、政府が電気・ガス料金の抑制策を講じたため、インフレ率は次第に低下すると見込まれています。
ただし、食料品などの値上げが続く可能性があり、物価が一定期間高止まる、あるいは一度落ち着いても再び上昇する可能性が高いです。
悪いインフレ状態の日本で資産を守るには?
インフレが起きると、資産運用方法によっては資産の価値が落ちます。
その代表的な運用方法が「預金」をはじめとした貯蓄です。
そのため、インフレ対策として、インフレに強い資産を持ち、分散投資を行う必要があります。各対策についてご紹介します。
インフレに強い資産を持つ
インフレに強い資産としては、株式や不動産、コモディティ(商品市場)、プラチナ、金、銀などが挙げられます。
株式は、企業の業績が良ければ株価が上昇するため、インフレに対して相対的に強いとされています。
不動産は、土地や建物自体の価値が上昇するため、インフレに強いとされています。
コモディティは、需要と供給のバランスに応じて価格が変動するため、インフレの場合には需要が高まることが多く、インフレに強いとされています。
プラチナ、金、銀は、通貨としての役割や装飾品としての需要に加え、投資対象としての需要もあるため、インフレに強いとされています。
分散投資を行う
インフレ対策として、分散投資を行うことも重要です。資産を複数の資産クラスや業種・地域に分散して投資することで、リスクを分散することができます。
一方、特定の資産に偏って投資を行っている場合、その資産クラスや業種・地域がインフレに弱い場合には、資産の価値が下落することになります。
定期的な運用益の確認と見直し
資産の運用方法によっては、インフレ率を上回る運用益を得ることができる場合もあります。
しかし、インフレ率が急激に上昇する場合には、資産の運用方法によっては運用益が追いつかなくなることがあります。
そのため、定期的に資産の運用益を確認し、必要に応じて見直しを行うことが大切です。
以上のように、インフレに備えるためには、インフレに強い資産の保有や分散投資、定期的な運用益の確認と見直しなどが重要です。
インフレに強い4つの資産
インフレに強い4つの資産のポイントをわかりやすくご紹介いたします。
不動産投資
不動産投資は、現物資産である不動産を所有することで、インフレに強い投資先となります。
不動産は物自体に価値があるため、物価の上昇によってその価値が下がることはありません。
また、インフレが起こると、家賃も上昇するため、入居者からの収入も増える可能性があります。
不動産投資には初期費用やランニングコスト、物件管理の手間やリスクが伴いますが、
区分マンション投資では、会社員や公務員、概ね年収500万円以上〜から自己資金10万程度から始める方も多くおられます。
もちろん、物件によっては入居率の低下や家賃収入の減少などのリスクもあります。
不動産投資を始める際には、資産形成のために必要な知識を身につけ、リスクを把握した上で、慎重に投資先を選ぶことが大切です。
金
金は現物資産として価値があり、不動産と同様にインフレに強いというメリットがあります。
しかし、金は不動産と異なり、保有するだけでは収入を得られず、資産価値が上がっても実際に売却しなければ収益を得られない点には注意が必要です。
また、金は一時的な価格変動が大きいため、短期的には損失が発生する可能性もあります。金を投資する場合は、適切なタイミングや適切な方法を選択することが重要です。
株式投資
良いインフレが起きた場合には、資産価値を守るために株式投資が有効であると言われています。
企業の収益が増加し、その影響を株価が反映するため、株価も上昇するからです。
このように、株式投資によって資産価値が下がることはありません。
また、株式は本来売買をすることで利益を得ることができますが、保有しておくだけで配当金や株主投資が受け取れるものもあるため、普段から投資しておくことで不労所得を得ることができます。
ですが、どの株式に投資したらいいか分からない場合は、複数の金融商品を含めた、分散投資する事が重要です
悪いインフレが起きた場合、株式投資は、企業の業績が悪化して株価も下がる可能性があることを忘れてはいけません。
株式投資を行う場合は、投資先の企業や市場環境を十分に調査することが大切です。
外貨
日本でインフレが起きた場合、円の価値が低下してしまうため、外貨を保有することで相対的に資産の価値を保つことができます。
外貨の保有方法としては、外貨預金や、株式や投資信託を外貨建てで保有する方法があります。
ただし、保有している外貨の国でインフレが起きた場合は、外貨の価値も低下してしまうため、リスク分散のために複数の通貨を保有することが大切です。
また、外貨の選択には十分な調査や情報収集が必要です。例えば、政治情勢や経済指標、金融政策などに注意を払うことが重要です。
外国為替市場は変動が激しく、為替リスクや市場リスクが存在するため、当然、外貨を保有することはリスクがあり、判断する知識が必要です。
インフレ時に弱い資産
インフレに強い資産がある一方で、当然ながらインフレに弱い資産も存在します。
現金で保有する資産は、インフレが起きると価値が目減りするので注意が必要です
預金・貯金
預金は現金での資産保有になるため、インフレ下では価値が減少してしまいます。
預金の金利はインフレが発生した場合に上がる可能性がありますが、通常はインフレの進行スピードよりも金利が上昇するスピードが遅いため、実際に受け取る利息はインフレによる価値低下をカバーすることができません。
結果として、預金はインフレに対して弱いと言えます。
したがって、インフレリスクに備えるためには、預金以外の資産への投資や保有が必要です。
例えば、株式や不動産、商品などのインフレに強い資産への投資や、外貨建ての資産保有などが考えられます。
ただし、これらの投資にもリスクがあるため、投資家自身が十分な情報収集や分散投資を行うことが重要です。
保険
保険は、契約時に満期で受け取る金額を決めます。
しかし、情勢が変化してもその金額は変わらず、同じ金額であっても、インフレが進んでいる場合には実質的な価値が低下する可能性があります。
そのため、保険は現金の価値が下がるインフレに弱いと言えるでしょう。
ただし、保険には保障内容があり、その保障内容によってはインフレに対して有効な保険もあります。
例えば、インフレによって生活費が上昇しても、受取金額が上昇するような保険や、将来の医療費用に備える医療保険などがあります。
また、定期保険などは、保険料が一定期間、固定されるため、インフレによって保険料が上昇することがなく、予算の立て方に安心感をもたらすことができます。
保険は、一定のリスクを分散して、将来の不安を軽減するために必要なものですが、保険商品の選択や契約内容の確認は慎重に行う必要があります。
年金
年金は、私達の将来にとって大切な資金ですが、マクロ経済スライド(そのときの社会情勢に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組み)は、 物価や賃金が上昇しても、年金の給付額を必ずしも増やさないため、インフレに対して年金は弱い資産となります。
たとえ、物価が2倍になったとしても給付額は2倍にはなりません。
まとめ:リスク分散しながらインフレに強い資産を持ち、物価の上昇が起きても安心できる未来と資産を形成しましょう
当然ながら、投資にはリスクがつきものですが、不動産などの現物資産や株式や外貨などの資産をリスクを分散しながら持ち、 資産価値を保ちましょう。
日本ではハイパーインフレやスタグフレーションが起こる可能性が低いと考えられますが、明るい未来の為に、かしこい資産の持ち方を学び、備えることが肝心です。
不労所得などで価値を発揮する資産ばかりではなく、投資によって資産を形成することが大切です。
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